SNSは有効か?

クライアントはネット事情に詳しく、特にSEOに関してはよく勉強されていました。

カテゴリ特化した複数のサイト展開もその一環ですし、ブログやSNSについてもTwitter Facebook Lineなどにも取り組んでいました。

SNSの活用はネットビジネスでは必須、絶対に取り組まなければならないものという風潮になっていますが、はたして本当にそうでしょうか、というお話です。

ショップのスタッフが何を食べたか知りたいですか?

現状を見ると、ブログに関しては設置工事の状況などの他に、社長やスタッフがどこへ行った、何を食べた、何を考えたなどの記事も多くありました。他のSNSも同じような感じです。

スタッフの人柄や考え方を発信することで、ショップに親しみをもってもらうという趣旨は理解できますが、これは大きな勘違いだと言わざるを得ません。

お客様の立場で見てみてください。
誰がどこに行って何を食べたか、知りたいですか?読みたいですか?
お客様が求めているのは、商品ページだけではわからない商品の使い方や、介護商品に関するウンチク、知識ではないですか?

ブログはカタログ情報以外の商品の特徴やおすすめポイントに使う

私が前職でネットショップを運営しているとき、ブログを導入しました。

商品の商談や登録を担当するマーチャンダイザーが、自分の担当する新商品や商品の特徴、他商品との違いなどを詳しく解説していくもので、カタログ情報以外の商品の特徴や新製品のリリース情報、予約受付の告知など目的として、その情報は週ごとにまとめてメルマガでも配信していました。

SNSではブログ更新されると自動で配信するかたちに留め、あくまでも情報をネット上に拡散する発信ツールとして位置づけました。
結果、商品購入者の30%以上がブログ記事を参照して購入する良い循環が生まれていきました。

SNSの本来の使い方とは

企業のSNSの使い方は、大きく2つに分かれます。
ひとつは情報の発信によってネット上への情報拡散、自社への導線として使うもので、前述の商品情報を中心としたもので、単にカタログ情報や価格情報ではなく、踏み込んだ内容にすることが肝要です。

2つめは顧客とのコミュニケーションのために使う方法です。
SNS本来の役割はコミュニケーションにあり、お客様とのコミュニケーションによって絆を深めていくというのが理想です。
無印良品などでは、商品に関する意見を募り新商品開発をお客様とともに行うことでファンを醸成していくことで、成功例として取り上げられます。また、少々極端な例で言うと、ソフトバンクの孫社長のツイッターのように、企業トップがお客様からの意見を真摯に受け止め、「すぐやりましょう」で会社のしくみを改善するなどは、お客様の満足度を高め、企業のブラディングにも寄与していることは間違いのないところでしょう。

SNSで成功している企業の特徴

しかし、一般メーカーや流通業に、その会社とコミュニケーションをとりたい、スタッフと仲良くなりたいと望むファンはいるのでしょうか。

企業側はお客様を取り込みたい、ファンになってリピートしてもらいたいと考えますが、個人に立ち返って考えれば、取り込まれたくない、自分の興味のない情報を押し付けられたくないというのが本音です。
ネットショップから大量に送られてくるメールもよほど興味を惹かれないかぎり読まずにゴミ箱行きになっているのではないでしょうか?

上記のように成功している企業の特徴は、そのほとんどはメーカーか、メーカーに近い製造直販型の小売業で、先述の無印良品などは、もともとそのブランドに「熱烈な信者」とも言えるファンがついており、コミュニケーションの土壌が整っていることが大きな要因になっています。

一方で、私の経験や他の大手通販、メーカー直販の通販などでも、SNSが活性化しているという話はほとんど聞きません。
コミニュケーションスキルの高いSNSの専任担当を置いているところでも、目に見える定量的な効果(販売増)はほとんど見られず、定性的(顧客ロイヤリティや満足度の向上)な効果が「あるはず」ということで続けているという状態です。

特に中小企業の少ない人員の中では専任を置くことは難しく、利益に結びつく施策を優先的に考えたとき、コミュニケーションを中心としたSNS展開は至難の業と言わざるを得ません。