そもそもホームページは必要か

クライアントは、医療機器の販売、整骨院、エステサロンを数店舗経営しており、会社案内のホームページはあるものの、業態や店舗の紹介はない状態でした。

現在までホームページを作成しなかった理由は、webスキルのある人がいなかったということと、どこから手をつけてよいかわからない、どこに頼んだらよいのかわからないということ、そして、店舗スタッフを業務に集中させたいということなどでした。

いくつかの業態をお聞きしているうちに、お客様へのサービスの一環として、また、新規のお客様を獲得していくために、ホームページを作成したほうがよいと思われるものと、特に必要がないと思われるものが出てきました。

その切り分けは、業態でのお客様の集客方法でした。

コスト対効果を最適化するための取捨選択

一つの業態は、スーパーや専門店などがある商業施設の中での健康相談コーナーをメインとしており、リラクゼーション機器や治療機器を体験したり、時間利用ができるというもので、通りがかりに興味のある人や、通勤通学や買い物にきた人が入り、そういう人たちが固定客または機器の購入を行うというかたちのもので、ホームページの有無が集客や販売に影響を及ぼすものではないという判断をしました。

一方、リラクゼーションサロンや整骨院は、施術にも特徴があり、場所も独立したところにあるため、その存在やアピールできるポイントをホームページで紹介して新たなお客様の獲得や顧客層の拡大を行っていくべきものです。

そしもう一点、リラクゼーションサロンの中でサプリメントの取り扱いがあり、リアルでは単品はもちろん、定期購入もできるしくみを作っており、これをネットでも販売していければというご希望も出てきました。

ホームページの作成や運用コストを考える

クライアントの手元にいくつかのホームページ作成会社からのリーフレットがあり、ホームページ作成やネットショップ作成は無料、それぞれ月額数万円で利用できるASPについて、これを利用すべきかどうかという相談になりました。

店舗ページとショッピングシステムは別建てで、合計すると年間で50万円近くになります。

この答えとしては、私はNoでした。

社内では、チラシやA5で10ページ以上の月刊の小冊子やA3二つ折りの新聞なども発行しており、

当然ながらデザインや校正を行える人材がおり、ホームページに関してスキルのある人もつい最近入社したということで、サーバーやサイトのフレームさえ用意すれば、十分に自社で運用していくことが可能だというお話をしました。

WordPress利用でシステムコストは50分の1以下に

結論として、店舗のホームページはWordpressで作成することをご提案し、サーバー設定やセットアップもその場で一緒に行っていくことにしました。

WordPressの良い点は、ホームページのデザインや必要な機能が豊富にあり、テーマと呼ばれるデザインテンプレートを利用することでデザイン性にも優れたサイトの外枠が一瞬できあがること、検索エンジン対策にも強く、PC、スマホ、タブレットなどにも自動的に対応、多言語対応のサイトまで可能なテーマもあり、奥は深いながらweb知識のない人でも文章が書ければ記事更新が可能であることなどがあげられます。

サイトについては、作って終わりではなく、頻繁な更新が必須ですが、施術やお客様の声などをコンテンツの核として、更新するスタッフの負担が最も少ない方法を考えることにし、店舗スタッフが毎日本部に送っているという日報を、個人情報を伏せたかたちで一般に向けて公開していく方法をとることにしました。

これはよい方法でした。本部もスタッフも常にサイトを確認する運用になり、サイトに対する興味や機能の改善要望なども上がりやすくなる、ひいてはサイトが常に活性化され、見やすく使いやすくなっていく相乗効果が生まれてきます。

そして、店舗ページはサーバーとドメインの費用、年間数千円で構築、自由度も高く運用できることになります。

ショッピングサイトはどうするか

サプリメントショップに関しては、商材自体に競合が多く、単独でネットショップを構えても販売拡大していくために非常に多くのリソースが必要であることや、単独でショップを構築するためには、通信セキュリティの確保や個人情報、特にクレジットカード番号の保有リスク、決済や物流会社の手配など煩雑な付随業務が発生するため、現実的ではない旨で説明しました。

まずは、既存のお客様がネットで購入いただける環境を整備することを主眼にし、ネットでの拡販やプロモーションは、ある程度の規模になって専任の担当者を考えれられる時期でよいとし、月額無料のショッピングシステムかショッピングモールの利用をおすすめし、最終的にYahoo!ショッピングへの出店をすることにしました。

モールか自社かの判断基準

ネットショップは、参入するのは簡単ですが本気で取り組もうと思えばリアルと同じような人員体制と広告などの費用もかかります。

今回はショッピングモールなどへの出店をお勧めしましたが、基本的にはショッピングシステムASPを利用し、自社で店舗を構築することをお勧めしています。

最大の理由は、ショッピングモールのお客様は、自社のお客様ではなく、モールのお客様で、モールを退店した瞬間に今まで培ってきたお客様へアプローチができなくなるということです。

これはモール側の規定によるもので、退店後はお客様にメールさえ出すことができません。

リアルでもネットでも、商売で一番大切なことは、お客様をいかに獲得し、リピーターになっていただき、ファンになっていただくかということにつきますので、基本的には自社のサイトがあり、その補助としてモール出店を考えることを推奨しています。

今回の場合は既存顧客へのサービス向上を基本スタンスとして、ネット購入ができる環境を手早く効果的に導入できるという視点で選択、おすすめしたということをお伝えしました。

結論として

闇雲にホームページを作り、ショップをオープンさせても、費用対効果が合わないと思われるケースでした。

特に初めてネットに取り組む場合には、小さく産んで大きく育てる、ソフトランディングをおすすめします。

今回のようにほぼ費用をかけないかたちでも十分に効果的な取り組みができるということを、ぜひ頭の隅に置いていただければと思います。